【休診日の対応】
歯科医院の場合、院長が学会や地域の小中学校で歯科検診を行うため、やむを得ず休診日としなければならない場合がありますが、そこで労働者に対する対応として、この休診日をどう扱うかが問題となります。
これにはいくつかの対応方法が考えられますが、以下にその代表的な方法を列挙します。
1.休日として扱う方法
就業規則等の休日に関する規定中に「その他医院が指定する日」として休日扱いにする方法。ただ、この方法には、急な休診日になった場合、当初予定していた月給制の従業員の月平均労働時間が変わるため、割増賃金の再計算をしなければならなくなり、事務手数が面倒になるというデメリットもあります。
2.特別休暇にする方法
有給の特別休暇とする方法。この方法は事務手数も掛からず従業員にも不利益とならないため従業員との間でトラブルになることはないが、その反面人件費が掛かってしまうといった面もあります。
3.休業手当を支払う方法
休診日を労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」として平均賃金の60%を支払う方法。この方法は、割増賃金の再計算をする必要はありませんが、休診日の都度、従業員個々の平均賃金の計算をするという手間が発生します。
4.年次有給休暇の計画的付与として扱う方法
実は意外と知られていないのが、この年次有給休暇の計画的付与の制度です。年次有給休暇は年5日までは自由に取得させなければなりませんが、それを超える日数については計画的に付与することができるのです。つまり、この制度を利用して、休診日については有給休暇扱いにする方法です。こうすることにより有給休暇の消化率はアップしますが、新入職員など有給休暇が5日に満たない者に対しては、不利益にならないように配慮する必要があります。
以上が休診日の扱いに関する代表的な対応方法ですが、いずれの方法を採用するにしてもそれぞれのメリット・デメリットを十分勘案のうえ、各医院に合う方法を採用して下さい。
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